居合と刀

居合と刀:古刀に学ぶ

居合は刀を用いて稽古を行いる武術です。
数百年も時を過ごした刀もあれば令和に作られる刀もあります。どれがいいと言うわけではなく、居合の稽古で刀を抜いたり、刀に触れていると刀に教えられることが多々あり、感じたことを紹介してまいります。

今回は、先日購入した古刀の備州長船春光。
今までも古刀や新刀など江戸時代以前の刀を使って稽古していたこともあったが、ここ数年は現代刀匠を応援したいという考えもあったため現代刀を使っていた。
今回、備前長船春光を使うようになり、改めて古刀の良さを感じ、教えられることがあった。

500年という途方もない時間を過ごしてきた存在に敬意を感じる

備前長船春光を手にすると、明らかに鉄の質の違いを感じる。肌触りがぬめっとした感じがあり、500年という時間がそうさせるのか、成分の違いなのか分からないが現代刀とは明らかな違いを感じる。

📸眺めてる写真

また、古刀特有の反りの深さなど、これを作った春光は何を考えこの形にしたのかなどを考えると感慨深い。
この刀が500年にも渡り誰の手に渡り、今、この手元にあるのか、調べようはないが今の状態から察するに、代々、丁寧に扱われてきたものと思う。

この刀のように錆びつくことなく流派を継承していきたい

備前長船春光は、500年近く劣化することもなく当時のままの形を維持している。500年間もの間、何人かの手に渡ってきたのであろうが、ずっと大切に扱われてきた物だと思われる。
この姿を見ていると、流派も刀に似たものと感じる。

刀の所有者が、手入れをしなければ錆びてしまい、雑な扱いをすれば刃こぼれし曲がってしまい、ひどいと使い物にならなくなる。流派も継承者が正しく学ばず身につけなければ流派の本質は途絶えてしまい、さらにひどい例で言うと、自分の考えで形を変えたりしてしまうと別物になってしまう。

どちらも、所有者や継承者など携わる人が適当な行動をしてしまうと、後世へ引き継ぐことは不可能である。

📸教えてる写真

そう考えると、刀という物も、武術という技術も後世に残すためには、丁寧に接することが大切である。
そこには、古を尊ぶ日本人ならではの精神性があり、物や技術を通して、その精神性を学ぶことが大切なことのように思える。

どちらも、携わるということは責任重大である。
我々のように流派を継承する立場の人間も師匠や先人の教えをしっかりと学び探究し身につけ、そして、後世に受け継いでいくことが使命であると思うと心が引き締まる。

技は無形だから捉えにくい

📸抜き打ち

武術の流派は、先人が実戦などから学び後世に伝えるために形にまとめた。
この形の手順が流派を継承するとことかと言うと、それも一つではあるが、本来伝えたい技は目に見える形ではなく映像や写真などにも写らない。

技を身につけるためには教えを正しく守り形を繰り返し稽古するしかない。ただし、何も考えず数をやればいいと言うわけでもなく、師が言っていることがどう言うことなのかを追求することも大切である。
これからも、古を学び大切に次代に渡せるよう努力したい。

劔和會で流派を学びたいと言う方には、少しでも流派の真髄を探究し身につけられるよう稽古に励んでもらい連綿と受け継がれることを願う。

文責:塩崎雅友

The following two tabs change content below.

塩崎 雅友

幼少の頃は少林寺拳法の稽古に励み、現在は山田先生に師事し居合(無外流)と杖術(神道夢想流)の稽古に励んでいます。 無外流居合兵道:免許皆伝 無外眞伝無外流居合兵道:免許皆伝 神道夢想流:免許

最新記事 by 塩崎 雅友 (全て見る)

TOP